子犬の死亡率の大きいパルボウィルス感染症が大流行する時期がございます。

このウィルスはどんな所にも存在しています。当然、ペットショップ・動物病院・ホームセンターなどの犬用品の売り場付近・ドックランなど犬が集まる所には沢山の菌が居ます。

そ の場を通った人の靴底や衣類からどんな所にでも運ばれていきます。もちろん、その場以外でも人が生活する以上、移動しますのでどんなところにも存在するの です。たとえば、道を歩いた場所に発症せずキャリアの犬が一年前に排泄していたとします。その場にはウィルスがしぶとく残っています。布団にはダニが居て も、人の体も抗体に守られている為、アトピーや喘息にならないですが、小さい子供はなりやすいですよね!それと同じです。考え出せばキリがないです。現 在、どのような場所も危険な状態です。他県のペットショップが同市営業しており、他県業者より購入の子犬がパルボウィルスによって死亡しています。

犬に関係する方の出入りがあれば当然感染しやすくなります。このウィルスはワクチンが完了していて免疫がある犬にはどんなにウィルスが体内に入っても感染はしません。ただし、子犬にとってはやっかいなウィルスなのです。成犬では発症してもほとんど症状がない犬もいますし、ワクチンを接種している犬に関してはキャリアであっても発症しません。しかし、子犬にとってはおそろしいウィルスなのです。特に母体からの免疫が切れる頃の子犬は進入ウィルスに対して無防備な状態になっている為、パルボウィルスに感染しやすい状態になっています。過度に怖がらず適切な治療をすれば回復に向う子犬も増えてきました。子犬をよく観察して早期治療が命を救う鍵になります。

当 然、動物に関係のある店舗でしたらどこにでも発生の可能性はあります。当店ではこのウィルスから子犬を守る為に、毎日の徹底消毒と適切な時期のワクチン接 種、また母犬には妊娠直前にワクチン接種するなどして過度なまでの徹底管理をしておりますが、目に見えぬ相手へとの戦いはいつまでも続いております。当店 の子犬のお引渡し時は万全の体調の子犬しかお渡ししていませんが、環境の変化によるストレスによって急激に免疫が低下して症状が現れる事があります。

子犬を迎えた日から1週間は飼育記録をお願いします。体重と便の回数・便の状態、餌の食べつきなど細かくチェックしてください。

ウィルス性の病気の他に低血糖でも命を落とす事があります。

生体管理だけはくれぐれもお願い致します。

●当店の主治医とワクチネーションの時期を打ち合わせをしながら慎重にワクチン接種をしています。現在は移行抗体がある時期なので接種が適切でない場合は除いています。

もしものためにパルボウィルスの症状をまとめてありますので必ずお読みになってください。

【症状】 激しい嘔吐や下痢、脱水症状など

一 九七〇年代末、激しい嘔吐や下痢を伴う、原因不明の致死性の高い感染症が世界各地の犬を襲った。日本でも、当時、「ポックリ病」「コロリ病」などと呼ばれ たこの病気にかかり、多くの犬が急死した。それが「犬パルボウイルス感染症」のまん延の始まりだった。間もなく原因ウイルスが特定され、ワクチン開発も行 われ、ワクチン接種の普及とともに犬パルボウイルス感染症の症例も減少した。しかし、体力や免疫力の弱い子犬や老犬などは、犬パルボウイルスに感染して死 亡することも少なくない。 このウイルスは、犬の体内に入った後、細胞増殖の活発な腸管や骨髄などを攻撃する。そのため、通常は感染後、数日から十日前後で発症すると、腸管の粘膜が 破壊され、激しい嘔吐や下痢が続く。トマトジュース状の血便が出ることも多い。嘔吐、下痢が続くと、体力が衰え、脱水症状がひどくなる。また、腸の粘膜が 破壊されるため、腸内の細菌が体内に侵入。ひどければ、内毒性ショックや敗血病を起こして死亡する。 また、骨髄がダメージを受けると、一部の白血球が造られなくなり、白血球が減少する。あるいはリンパ系に侵入することもある。ともに犬の免疫力が極度に低 下して、様々なウイルスや細菌の二次感染を受けやすくなる。特に子犬などは急激に症状が悪化して、発症後一、二日で急死することも少なくない。飼い始めた ばかりの子犬が嘔吐や下痢をした時は、検診のため、できるだけ早く動物病院に連れて行くことが大切だ。

通常は感染後2日で,元気消失,衰弱,嘔吐,下痢がみられるようになり, それから食欲が廃絶する.発熱はあったりなかったりする.

初期症状は泡状の唾液を日に数回は吐くようになる。便は下痢になる前に白っぽい便になる事が多い。元気はあっても餌は食べたがらない。 通常この時期に病 院を訪れ,検査により白血球の減少がわかることが多い. 感染後約5-7日で免疫ができるため回復するものはその時期から快方に向かう. すなわち,軽度発症の犬は発症後1-2 日で自然回復し, 中等度発症の犬は病院で補助療法を行って3-5日で回復する. しかしながら,下痢や嘔吐が持続するものは死亡することが多い. また幼 犬に多い過急性感染では,発症後1日程度で死亡するものもある. 8週齢未満で 感染したものは心臓にウイルスが感染し, 心筋炎という心臓の病気を示すこともある.

【原因とメカニズム】 強いウイルスが、感染犬の排せつ物などを通じて、経口感染する

よく知られるように、ウイルスは自ら増殖することができず、他の生き物の細胞の働きを利用して増殖する。 経口感染で犬の体内に入る犬パルボウイルスの特徴は、何と言っても丈夫なこと。自然界で半年や一年、そのままの状態で生存できる。また、感染した犬が発症 せずにウイルスを排せつしている(キャリア)こともある。だから、どこかで感染した犬の体内で増殖したウイルスは糞便や尿、唾液、鼻水、嘔吐物などに混 じって体外に出た後、例えば犬の体毛、ケージや毛布、食器、床や庭、散歩コース、その犬に触った人の手や衣服、靴の裏など様々な手段で、長期間、新たな感 染機会を辛抱強く待つ。 また、このウイルスは、普通のせっけんや消毒液などでは死滅しない(塩素系消毒液ハイターが有効)。そのため、子 犬が急死した家庭で、一年もたってから、新たに飼い始めた子犬が、生き残った犬パルボウイルスに感染して死亡するケースもある。そのためひとつでも当ては まる初期症状があったら徹底的な消毒をして子犬の排泄物に触れた場合は特に念入りに消毒する。抱いた洋服や部屋のドアノブなどの消毒も忘れずに・・・次回 迎える子犬を守れる方法はひとつ。徹底した消毒です。 通常、母親から初乳を通じてもらった「移行抗体」に守られていた子犬の免疫力が低下してくるころ(生後二か月前後)、ワクチン接種しても移行抗体に守ら れ、ワクチンの効果がなかったり、ワクチンを接種してもワクチンの効力が上がる前に、どこかでウイルス感染する恐れがある。

【治療】 症状の軽減と体力、免疫力の回復によって、感染症に打ち勝つ

犬パルボウイルスを直接退治する治療法はない。ウイルスを殺す治療法はないため,対症療法・補助療法が行われる. これには,嘔吐,下痢によって失われた水分や電解質を補給する輸液療法と, 腸内細菌の異常繁殖を防止する抗生物質療法がある. その他の治療としては, ショックに対する治療,嘔吐,下痢をコントロールする対症療法がある. また,血清 療法といって他の犬の血清を注射する治療法もあり, これは失われた栄養分の 補給に十分効果があり, また免疫増強という効果も期待できるのかもしれない.感染し、発症した犬の様々な症状を軽減し、弱った犬の体力、免疫力を高めて、犬自ら病気に打ち勝つ手助け(支持療法)を行うことが大切だ。 嘔吐があれば、絶食・絶水させる。激しい下痢で脱水症状や栄養不足がひどければ、点滴で水分や電解質、栄養分を補給する。腸炎が悪化すれば、出血や痛みも 甚だしくなる。また、骨髄やリンパ組織が侵されれば、免疫力も極端に低下して、二次感染症も起こってくる。このような状態に対しては、抗生剤や制吐剤の投 与をはじめ、輸血、さらには鎮痛剤で痛みを抑える治療も必要だ。痛みが激しければ、心身への負荷が大きくなって衰弱も進み、治療効果も低下する。また、低 下した犬の免疫力を高めるために、インターフェロン投与も行われることがある。 たとえ感染しても、適切な治療を行えば、恐ろしい犬パルボウイルスに打ち勝つ犬も増えてきた。

【予防】 効果的なワクチン接種プログラムを実践する

子 犬を飼い始めたら、すぐに動物病院で健康診断を受け、適切なワクチンの接種時期や回数について相談することが大切だ。そして成犬になれば、年に一度のワク チン接種を継続する。要注意なのは、通常、母犬から初乳を通じてもらった移行免疫の効力が弱まる、生後二か月前後の時期だ。仔 犬は母犬から免疫(抗体)をゆずり受けます。初乳にこの免疫のほとんどが含まれており、仔犬はこの免疫によって病気から守られます。免疫の量が充分なら ば、ウイルスが侵入してきても発症はしません。しかし、量が少なくなると病気になってしまいます。成長するにつれて免疫量は少なくなるのですが、仔犬がど の位の免疫力を持っているのかを調べることは、時間がかかるために実際にはできません。混合ワクチンの中に組み込まれているパルボウイルスワクチンで予防可能. しかしながら,ワクチン接種前に感染が起こってしまうと予防は不可能であるし,また母親が高度の免疫を持っていると, 子犬の体内に母乳由来の抗体 がかなり遅くまで残る. このためワクチンが妨害され,打ってあるのに効いて いないという状態が作られる.接種したからといって安心していると,その後母親からの抗体は自然に消滅し,ワクチンも効いていない,無防備 状態となってしまう.仔犬が親ゆずりの免疫力を充分に持っていれば、予防注射を接種しても効果がありません。

どんなに予防しても消毒の徹底をしても目に見えない最強のウィルスを防ぐ手立てはないのです。飼い主様が徹底して飼育記録を付け、子犬の変化にどの位速い段階で気が付いてあげられるかで子犬の命を大きく左右します。初 乳をまったく飲めなかった仔犬の場合、親ゆずりの免疫を持っていないので、予防注射によって免疫が作られます。パルボウイルスでは、パルボウイルスは他の 病気と異なり、親ゆずりの免疫は、長い場合で18週間、短い場合は1ヶ月とかなりの幅のあるのが特徴です。そこで、予防注射は生後6週目から、3週間毎に 18週目まで繰り返し接種するのが最も良いプログラムと考えられています。(ワクチン接種の考えからは獣医師によりかなりの差がありますので担当の獣医師 にご相談ください。)ワ クチン接種の普及などで症例は減少しているが、いまだに局地的に犬パルボウイルス感染症が流行することも多々あり、しぶとく生き残るウイルスが猛威を振る う可能性もなくはない。しかもこのウィルスはインフルエンザや食中毒など有る程度の時期を特定できるものでなく、一年中いつでも活発に活動しています。そ の為、愛犬の健康管理と毎年のワクチン接種を怠るべきではないです。